若い労働者人口の減少により、IT業界でもITエンジニアの平均年齢が上昇し高齢化がすすんでいます。ここでは将来も増加するITニーズに対応するため、ミドル・シニア世代のITエンジニアの活躍について、データを交えながら書いています。
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データから読み解くITエンジニア人材不足時代の動向、将来予測で書きましたが、IT人材は2010年代の半ば頃から人手不足が課題となっています。また、将来についても、AI、IoT、クラウド、ビッグデータ、ICTなどのITニーズが拡大すると予想されていますが、その需要に応えるIT人材数が追いつかないため人手不足問題はさらに深刻化すると予測されています。そのために期待されている事の1つが、女性や外国籍のITエンジニアやベテラン、シニア世代の活躍です。
(出典:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果、経済産業省、2016年)
上のグラフは経済産業省が公表しているIT人材の平均年齢と供給人数の時系列データです。平均年齢は一貫して上昇し続け高齢化が進んでいることがわかります。
IT業界というと若い人が活躍するというイメージですが、データを見る限り2020年予想の平均年齢は40代を超えています(それでも他産業と比較したらIT業界は若い方だと思います)。
実際に開発現場には、20代、30代の若い人だけでなく、40代、50代のミドル、シニア世代のベテランのITエンジニアの方も多くいます。
また、グラフでは2019年を境に入職率が退職率を下回るとされています。この要因はやはり若い働き手が減少するからでしょう。将来もITニーズが拡大し続ける状況で若い働き手が増えないならば、40代以上のミドル、シニア世代のベテランIT人材の活躍に頼らざるを得ない状況になる事は十分考えられます。
ITの開発現場で働く40代、50代のIT人材と言えばマネジメント系が多いというイメージですが、実際の開発現場には、SE・プログラマなどの開発エンジニアとして働いている方が多くいます。
どのような年代の人が働いているかは開発現場によって結構な差があると思いますが、ある業務系システムの開発現場では20代の人はおらず、30代であれば若く、ほとんどの人が40代、50代なんてこともありました。上で示したデータでも平均年齢はすでに40歳ですので、それが普通なのかもしれません。
また、2000年代から2010年前後にIT業界では「プログラマ・エンジニア35歳限界説」なんていう言葉をよく見かけましたが、最近はほとんどそんな言葉は見かけません。人手不足で売り手市場の状況であれば、開発現場は年齢に関係なく、マネジメント、SE、プログラマどこでも活躍する場があるという流れが、今後はより強くなる可能性もあります。
また、働き方や雇用形態も様々になっていくかもしれません。例えば、フリーランスのITエンジニアが今後増えていく可能性があります。ITの開発業務はプロジェクト単位で動くことが多いので、そのためには雇用の流動性は必要です。そう考えると、フリーランスのITエンジニアを必要とする開発現場が増えてきてもおかしくありません。
フリーランスのITエンジニアという働き方についてデータを見る限り、将来のIT業界は人材不足の問題が深刻化すると予測されています。特に若年者のIT人材が不足するため、シニア層や女性などの多様なIT人材の活躍が今後期待されているとも予測されています。
ただ、IT産業は投資産業の一面を持っていますので、景気が悪化すれば投資自体がストップして、それに伴い雇用状況も悪化するリスクはあります。そこは頭の片隅にでも置いておくべきだと思います。
とは言え、一時的に景気が悪くなった時の事を考えて心配しすぎるも賢明とは言えません。長期的な視点でITの必要性と成長の可能性を考えた場合、短期的な景気の波はあるかもしれませんが、長期的にみればIT投資や活用は伸び、IT人材の活躍の場は増えていくという可能性はやはり十分あると思います。