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データから読み解く若年者雇用労働市場の現状

厚生労働省が発表した若年者雇用労働市場、若年者雇用対策の現状等を読み解いてみました。若年労働者の人手不足についてや、フリーター、既卒者、中退者、ニートなどの若い人たちの就業状況、労働マーケットについて書いています。

若年者(15〜34歳)の雇用労働市場の現状、若年者の働き手人口の推移

最終更新日:2021/5/29

2010年代の半ば頃から、人手不足や働き方改革という言葉をよく聞きますが、実際どの程度の人手不足なのか、特に若年者の労働、雇用環境について考察してみます。ここでは厚生労働省が公表している資料を参考にして読み解いていきます (引用:若年者雇用対策の現状等について、若年者雇用労働市場の現状、厚生労働省

まず、若い働き手(若年労働力人口、15〜34歳)の推移ですが(2ページ参照)、1997年は2270万人、2017年は1711万人ですので、この20年で550万人以上減少しています。全世代だと1997年は6787万人、2017年は6720万人とほぼ横ばいですので若い働き手の減少の深刻度がわかります。そして将来予測ですが、2040年の若年労働力人口は1364万人とされています。

2016年頃から一億総活躍社会という言葉が出てきて、それから女性、シニア世代、外国人、氷河期世代の雇用の話題もよく聞くようになりましたが、若年者の働き手の減少に歯止めがきかないため、男女関係なくほぼ全世代が働き手にならなければならないという一億総活躍社会の話が出るくるのは納得できます。

若年者の就職率、3年以内離職率、フリーター数、ニート数

次に、若年者の雇用環境のデータです(5ページ参照)。平成31/3卒の就職率は高卒者が98.2%、大卒者が97.6%で過去最高水準、平成30年の若年失業率は3%半ばでバブル期以来の低水準と若年者の就職状況はかなり良好です。リーマンショック時とデータと比較すると雲泥の差です。

つまり、日本全体では若い人の働き手が足りていない人手不足という深刻な問題がありますが、若い人からの視点で見ると、仕事を探すという面だけなら売り手市場となっています。

ただ、3年以内離職率は大卒は30%以上、高卒は40%以上もあります。また、15~34歳のフリーター数は緩やかな減少していますが143万人、ニート数は50万人台で高止まりの状況です(中年齢層では増加傾向)。ただ、離職率についてはステップアップの離職もあるので、高い事が一概に悪いとは言えないと思います。

3年以内離職率の時系列、完全失業者数の時系列

次に、中卒、高卒、大卒別の3年内の離職率の時系列データです(8ページ参照)。最新時の数値は、高校卒は39.3%、大学卒は31.8%です。この数値をどう感じるかは人それぞれだと思います。リーマンショック時が平成20年で、その年と次の年の離職率が過去20年で一番低い数値となっています。

若年者の離職率は、景気が悪化すると跳ね上がるどころかむしろ下がっています。これは世の中不景気だから転職したり辞めたりするより今いる会社で大人しくしていようというマインドが働くからでしょうか。

就職氷河期(1993年から2005年卒(平成5年から17年卒))の3年以内離職率は高くなっています。特に高校卒業者は50%弱で推移しています。就職率が大きく下がるのは当然ですが、3年以内の離職率が高いのは、入社した若年者に対しても企業は厳しかった事が想像できます。

次に、業種別の3年以内の離職率のデータです(9ページ)。これは業種によってかなり差があります。数値が高い順から言うと、宿泊飲食などのサービス業、生活関連サービス業娯楽業、教育学習支援業、医療福祉、小売業といったところです。

次に、若年者の完全失業率・完全失業者数の時系列データです(11ページ)。直近の平成30年の完全失業率は15~24歳が3.6%、25~34歳が3.4%でバブル期以来の低水準で良好です。リーマンショック直後に一時的に上がっていますが、トレンドとしては一貫して下げ続けています。この数値が一番若い人の人手不足を表しています。

若年者の完全失業率・完全失業者数の推移
(出典:若年者の完全失業率・完全失業者数の推移、若年者雇用対策の現状等について、厚生労働省

企業の既卒者に対する募集状況

次に、既卒者の募集状況のデータです(37ページ)。直近の2018年新卒枠に既卒者が応募不可だった事業所の割合は30%です。2010年は47%ですから既卒者に対しても新卒扱いとして門戸を開いている企業は年々増加しています。

また、新卒枠に既卒者が応募可能な事業所のうち、卒業後の経過期間が2年超又は経過期間に上限はないとする事業所は2010年が65%、2018年が83%です。採用活動で新卒扱いする既卒者の範囲がより広がっている事がわかります。

リーマンショックが2008年ですので、そこから労働市場が立ち直ってきているいう見方もできますが、単純に若年者が人手不足だから純粋な新卒でなくても若年者を採用したいという見方ができます。
(よく既卒者の定義などを見ますが、データを見る限り新卒扱いされるかどうかは、結局企業と人手不足の状況により年々変わりますね。)

中退者とニートの状況

次に、中退者とニートの状況についてのデータです(16ページ、24ページ)。高校、大学ともに中退直後の就業状況は、過半数がアルバイトです。また、若年者が減少して若年失業率はバブル期以来の低水準という状況なのに、ニートの人数は50万人台半ばで高止まりしています。

国(厚生労働省)としては、こういった者の就労を支援する事が、本人の経済的自立のためでもあるし、若年労働者不足の国のためにもなると考え、支援や訓練プログラムを実施しているようです。

また、高校中退者や就職氷河期世代への支援モデルの強化にも取り組むようです。こういった支援活動に乗り出し、強化している理由もやはり若年者の人手不足だと思います。

最後に

色々とデータを見てきましたが、データを見る限り、若年者の働き手は人手不足の問題が深刻化しているというのは正しいようです。ただ、仕事を探す若年者からすると、売り手市場で企業は採用の門戸を広げていますので、チャンスとも言えると思います。

ただ、景気が悪化すれば、その影響を受けて雇用状況も悪化するリスクはあります。そこは頭の片隅にでも置いておくべきだと思います。とは言っても、一時的に景気が悪くなった時の事を考えて心配しすぎるのも賢明とは思えません。確かに景気悪化は注意すべき事の1つだとは思いますが、短期的な景気に一喜一憂せずに、それよりも長期的な視点で 考えるべきだと思います。

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