IT業界の業界地図についてです。プログラマなどのITエンジニア目線で、ITエンジニアが働く場所という基準でIT業界をいくつかに分けて説明しています。
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SIはシステムインテグレータの略称で、SIer(エスアイヤー、SI屋)とも呼ばれています。
今の時代、業界問わずITの活用が必須ですが、どの業界の企業もITを専門とするエンジニアを多く抱えている訳ではありません。ITをどう活用したらよいのかわからない企業や、ITでやりたい事はあるけどどう遂行したらよいかがわからない企業に対して、ITシステムやサービスを提案し、構築・開発を請け負うのがSIです。ITのコンサルタントから開発、運用保守までまとめて面倒を見るというイメージです。
SIのエンジニアとして必要なスキルは、システムの設計(SE)、プログラミングなどの開発スキルだけでなく、クライアント(顧客)の業界の業務知識なども必要になってきます。クライアント企業は、小売、物流、製造業、会計、金融、情報通信など様々です。その業界について詳しくなっていき世の中がどう動いているのかがわかってきますので、そこはSI業界で働く事の魅力の1つだと思います。また、コンサルからシステム開発を受託して、その対価としてお金をもらう仕事なので、金銭面ではわりと安定した企業が多い業界と言えるでしょう。
SI業界の企業は大小関係なく数多く存在しますが、個人的には最近少し異変を感じています。クライアント企業1つ1つの要件を聞いてから、それぞれの企業の要件にあわせたシステムを開発する受託開発では効率が悪いので(恐らくこの仕組みが数多くSI企業が存在する理由だと思います)、先に自社サービスを開発して出来たサービスを多くの企業に営業活動して売り込んでいく企業も目立ってきました。例えば、クラウド上に勤怠管理システムを作り、そのサービスを利用する顧客企業から1ヶ月単位で代金をもらう(サブスクリプションモデル)という感じです。このあたりの話は下の記事でも話しています。
将来生き残るSI、ITベンダー、従来型の受託開発からクラウド・Saasへの転換
あと、クラウドの話をしましたので、クラウド専門のSI、ITベンダー企業についても触れておきます。
AWS、GCP、Azureなどのクラウド環境を出てきた事で、以前と比較するとITインフラを用意、構築する事が劇的に簡単になりました。ただ、AWSは機能がどんどん豊富になり複雑になってきたので、その豊富な機能を使いこなす事が大変になってきました。そこで結局AWSに詳しいエンジニアに頼らざるを得なくなるわけですが、そうしたクラウド系エンジニアが多く在籍するクラウド専門のSI企業なども最近目立ってきています。
ネットが登場して、IT業界の中でもいち早く広い産業として成り立ったのが、ウェブ制作(Web制作)の業界だと思います。もちろん今でも、ウェブページ、ホームページがある限り需要がある業界ですし、ウェブ制作を事業としている企業は多くあります。上記のSI業界と同じく、ITエンジニアを抱えていない企業がウェブ制作をアウトソースしたい場合、ウェブ制作企業が請け負います。
ウェブ制作をするエンジニアはウェブデザイナ(またはクリエイター)と呼ばれる事が多いです。ウェブデザイナは、htm、css、javascript、Photoshop(フォトショップ)、Illustrator(イラストレーター)などを駆使してウェブサイトを作ります。また、サーバサイドで複雑な処理を必要とするなら、php、rubyなどのウェブ系のプログラミングのスキルも必要になります。
IT未経験者が、独学やプログラミングスクールを活用して勉強してウェブ制作業界に入って、ウェブデザイナ・プログラマなどのITエンジニアとしてキャリアをスタートさせて経験を積んでいくというのは、わりとよくあるパターンだと思います。
上記のSI業界・ITベンダー、ウェブ制作は、ユーザ企業のITシステムを構築・開発し、サービスを提供するという意味で一括りにできます。一方、ここから下はエンドユーザを相手にITサービスを開発、提供するIT業界です。
クライアント企業の要件に基づき、ITシステムを受託開発するのがSI企業(請負のウェブ制作業界も)でしたが、先に自分達でITシステムを構築・開発し、そのサービスを利用してもらえるように営業活動をしていくのが法人向けクラウドサービス業界です。SaaSとも呼ばれます。また、サービス提供後にサービス利用料として毎月いくらもらうというビジネスモデルはサブスクリプションモデルとも呼ばれます。
ウェブサービスですので、必要なITエンジニアスキルはウェブ制作業界とほぼ同じだと思います。クラウド上にシステムを構築することが多いので、インフラ系の知識、ウェブ系のプログラミング、デザイナのスキルが必要になるでしょう。
上記の法人向けクラウドサービス業界は法人がエンドユーザですが(BtoB)、自社サービスを一般消費者向け(BtoC)に提供している企業が消費者向けクラウドサービス業界の企業です。
とても夢があり、世の中の多くの人に直接的にサービスを提供しているので魅力的な業界ですが、ユーザである個人は移り気な上に、企業間の競争が激しいという厳しさもあります。
ゲームをする人は多いと思いますが、ここではゲームを開発する、ゲームサービスを提供する側の業界についてです。あとここでは、据え置き型ゲーム機ではなく、ブラウザゲーム、スマホアプリゲームなどのソーシャルゲームについて話します。
ネットが普及し、そしてスマホが普及する事で、スマホアプリのゲームも常に手元にある状況になりました。そのおかげでゲームをする人やゲームにかける時間が増えたと思います。それによりゲームを作る側の仕事も増えてきていると思います。それに、わりと新しくできたマーケットですので、ゲーム業界で働くための敷居が、昔と比較して低くなっていると思います。
スマホゲームの開発は、役割分担された開発者がチームを組んでプロジェクトを進めます。チームメンバーには、ゲームプランナ、プログラマ、インフラ系のエンジニア、デザイナ・クリエイター、(リリース前には)テスタなどがいます。プログラマも、フロンドエンド(iPhone,android)のプログラマやサーバサイドのプログラマに分業化されているケースが多いです。
また、ゲーム業界で働く敷居が昔と比較して低くなったと言いましたが、サーバサイドのプログラマ、インフラ系のエンジニアの方の中には、普段あまりゲームをしないエンジニアもいたりしますし、ゲームとは全く関係ない業界で働いていたプログラマなどのエンジニアが、ゲームはそんなに詳しくないが楽しさや新しい分野での挑戦を求めて、もしくは収入面を理由にゲーム業界に移ってきたというキャリアパターンも珍しくないでしょう。また、絵を描く事が好きでゲーム業界のデザイナやクリエイターになったいう人もいると思います。
あと、スマホが成熟期に入ってから流行りがブラウザゲームからスマホアプリゲームに移りましたが、グーグルが新しいクラウドゲームのプラットフォームに参入するようですので、また新しゲームマーケットができるかもしれません。
さらに、eスポーツの話題やニュースもよく聞くようになってきました。プレーヤー目線の話題やニュースが多いですが、eスポーツが本格的に盛り上がる事になれば、ゲーム業界で働くエンジニアにとっても活躍する場面が増えてくるでしょう。競争と変化が激しく将来どうなるか予想がつかない分、ゲーム業界は楽しみな業界です。
アドテクはアド(広告)テクノロジーの略称で、ネット広告のシステムを裏で支えるテクノロジー業界です。
ネット広告に関わる仕事をする人は数多くいますし(エンジニアだけでなくネット広告代理店で働く営業職の人も多い)、ネット広告専業の企業も数多く存在します。
ウェブページ、スマホアプリ、動画サイトなど、ネットを介して至る所に多くの人が集まりますので、そこでネット広告、アドテクの需要が生まれるのは必然です。
アドテク企業は、広いネット広告業界の中でも、テクノロジーに特化した企業というイメージがあります。多くのデータを扱いますし、同時に処理スピードも求められますので、ビッグデータ、AI、機械学習などなどの最先端のITテクノロジーに触れる機会が多い業界だと思います。ですので、プログラミング、テクノロジーに深い興味がある方、極めたいと考えている方にとっては、とても魅力的な業界だと思います。
フィンテックとはファイナンス(金融)とテクノロジー(IT)を掛け合わせた造語で、金融にITテクノロジーを活用しようという意味です。 昔から金融とITの相性はよく、金融業界ではよくITが活用されていましたが、特に最近フィンテックという言葉と共に盛り上がっている印象です。ブロックチェーンなどの技術がフィンテックに活用されているので、それも盛り上がっている要因の1つかもしれません。
アドテクと同様に、フィンテックも多くのデータを扱い処理スピードが求められますので、ビッグデータ、AI、機械学習、ブロックチェーンなどの最先端テクノロジーが積極的に使われている業界だと思います。今後、銀行の業務はAIに置き換わり自動化されるなんていう話もよく見かけるようになりました。
余談ですが、最近、不動産テック、ヘルステック、HRテック、アグリテックなどなど、フィンテックに倣って色々な造語を見かけますが、個人的には少しバズワードっぽく、盛り上げ方が強引な印象を受けてしまいます。とはいえ、不動産、ヘルス業界でも(と言いますかどんな業界でも)、ITテクノロジーが活用されていくことは間違いないでしょうから、今後フィンテックと同じく盛り上がっていく可能性もあるかもしれません。